心臓を貫かれて〈下〉 (文春文庫)



心臓を貫かれて〈下〉 (文春文庫)
心臓を貫かれて〈下〉 (文春文庫)

ジャンル:歴史,日本史,西洋史,世界史
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アメリカ社会の闇 

全米に死刑論争を巻き起こした殺人犯の弟である著者が、愛憎入り乱れる家族の関係、何代にもわたって家族が隠し持ってきたトラウマの歴史にまで遡って、いかにして兄が殺人者になっていかなくてはならなかったかをひも解く、ノンフィクション小説です。
ゾッとするようなアメリカの闇の部分が克明に描かれています。
キリスト教国ならではの価値観の問題(人間の自然な欲求を押え付けようとするキリスト教の狭量や不寛容がひきおこしてしまうのであろう若者たちの破滅的行動、オカルト的恐怖とつきまとう罪の意識、自殺願望、犯罪への衝動…)
呪われた家族の歴史(これもまた罪の意識が引き起こす連鎖的恐怖が原因なのではないか?)
アメリカ社会の複合的な病弊(愛情の枯渇と虐待の連鎖、家庭の崩壊とアイデンティティの喪失、バックグラウンドや人種による階級社会、銃と暴力、刑務所のモラルの問題、等々)
恐ろしいのは、この話が特別な人たちに起こるべくして起こったのではないということ。
どれだけ多くのアメリカ人の家庭が似たような地獄を密かに抱え持っているのか?
と同時に、自分の生き方、子供との関係、親との関係について、考え直させられる作品です。この悲しすぎる現実に正面から向き合った著者の勇気に感動しました。とともに、その事によって著者と周囲の人々が救われる事を祈っています。この作品を選んで訳してくれた村上春樹氏に感謝します。
傷と愛

 を描く問題作であり、また傑作である。
 ぐいぐい引き込む物語、そして、傷つけられながらも、愛に餓え、愛を何より必要としたゲイリー。
 この家族が歩むべき道は、書くも壮絶であり、筆者のマイケルは兄を憎む餓えに、さらに大きな傷を追う。
 訳者の村上春樹が語るとおり、ある一定を超えるともう癒せない傷は確かに存在するようだ。
 だけど、それを包括して生きていく意味をこの本は確かに教えてくれる。
友人にも勧めました

面白く一気に読めました。
私にとって難点だったのは時折話が前後し、かつどこからの視点で綴られているのか理解しにくかったように感じられたこと。
本書は変に誇張したり想像を駆り立てられるような面がなく淡々としていた中にもリアリティがあった。登場人物の心の動きが読み取れそれぞれに何を思いながら家族であったのかが良くわかる。

ひとつの家族が各々の人生を生きている姿は世の家族に通じるものがあるのではないだろうか。改めて家族とは何か。人間はどのようにして形成されてゆくのか考えさせられた1冊です
友人にも勧めました

文章は大変読みやすく上下巻、一気に読めた。
ただ私にとって難点だったのは時折話が前後していて少々読みづらく、どこの視点で綴られているものなのか理解しずらい面があったように思う。

全体の話は面白くリアリティもあった。登場人物の心の動きがよく分かり、同じ家族ながらそれぞれ違うことを考え、おのおのが自分の人生を生きようとしている所は世の家族でも同じことなのではないかと感じた。
家族とは生活環境とは何かと考えさせられた。
友人にも勧めた1冊です
人を生きさせることは、できない。

これは、「生きる」という最も大切なことにおいて、衝撃を与える本だ。殺人を犯したゲイリーの弟、マイケルが回想して書いているのだが、自ら死刑を執拗なまでに望み、そして実際に処刑された兄に対して、弟のマイケルが何よりも痛切に感じた事は、「殺人や処刑によって、他人に死を宣告し、至らすことはできる。けれども、どんな方法を持ったとしても、他人を生きさせることだけはできないのだ」ということだった。 私たちは自らによって、「生きる」ということを宣告しなければならないのだと、この本を読んで心に誓った。



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